【代表挨拶】
私たちは祖先の暮らしの延長上に生きており、未来は、私たちの暮らしの延長上にしかありません。伝統文化も、今ある自然も、私たちの命も、これらを今につないできたのは「人」でした。また、人の命の営みは、恵みを与えてくれる自然への畏怖や感謝とともに、死者や未来の人をも含む他者を想う気持ち、愛情によってこそ、いにしえより今日まで紡がれてきたのではないかと考えた時、社会とは私たち自身のこと、一人ひとりの想いで成り立っていて、その想いのやりとりに、命や心の豊かさがあるのだろうと気がつきました。社会は誰かがつくって動かしているものでなく、生きている私たち一人ひとりが社会の基盤をなしています。自分の価値観を持ち、自立した個人と個人が関わりあい連帯していくことで、これからの暮らしやすくて温かい社会をつくっていかれると考えます。
先人は、森を切り拓くときにも、恵みを与えてくれる森への感謝と祈りを忘れないために、その一部を残して「鎮守の森」とし、祈りをささげてきました。NPOちんじゅの森は、「人も自然の循環の一部であることを思い出し、感じ、そこから持続可能な社会を考え、つくっていく」きっかけの活動を行なってまいります。
【これまでの歩み】
「鎮守の森」とは、先人たちが森を切り拓くとき、恵みをもたらしてくれる森への感謝と祈りを忘れないために、森の一部を残し祈りをささげ場所です。そこでは村のお祭りが行われ、豊作を祈り、収穫に感謝し、自然とのつながり、人とのつながり、異なる世代、先祖や子孫とのつながりを確認してきました。
NPO法人ちんじゅの森の活動は、前代表(中尾伊早子:現理事)が伊勢神宮式年遷宮のシンポジウム事務局の仕事をした際に、遷宮が神聖な木を敬い大切に再利用するという持続可能な循環型社会の精神を体現していることに感銘を受け、自然と共生してきた日本人の知恵を継承する活動を行いたいと考えたことから始まりました。そこで、都会のオアシスとなっている明治神宮の森が人の手によってつくられたことを知ってもらい、今度は私たちの手でこうした森を作る取り組みを支援しようと2000年に「ちんじゅの森チャリティコンサート」を開催しました。このコンサート以降も活動を続けることを決め、翌年NPO 法人ちんじゅの森を設立しました。その後は、日本各地での民話語り、赤坂日枝神社では中秋の名月に神話語り等の舞台を行い、民話語り・神話語りは全国に展開しました。伊勢の遥拝所である東京大神宮では、1300年以上続く神宮の伝統行事「式年遷宮」を伝えるフォーラムを8年間にわたって開催しました。
そして活動20周年を迎えた年、自然と共生する中で日本人が大切にしてきた心や、季節や風土にあった生活様式を見つめ直し、それを過去から未来へとつなぐため、活動拠点を文京区目白台に設けることになりました。東京大神宮の神職さんたちがお供え物をつくる田畑のある一軒家をご提供いただいてリノベーションし、「ちんじゅの森サロン『ほぐほぐ』」と命名しました。世代を超えて人々が集い、語り合いながら先人たちの知恵を学び実践する、また自分たちの手で作物を育て、調理し、食べることで生きることの原点を見つめ直す―時間をつなぐ、暮らしをつくる―ための場所として運営しています。
【活動拠点「ほぐほぐ」】
「寿ぐ・言祝ぐ(ことほぐ)」は、おめでたい事柄を言葉で祝福するときに用います。また、あらかじめ祝うことを「予祝(よしゅく)」と言い、古来、日本の年中行事に組み込まれてきました。お花見も予祝の一つ、春の満開の桜で秋の豊かな実りを祈る年中行事です。現実がよくなるようにあらかじめ祝うこと、その祈りを込めて、「祝ぐ(ほぐ)」を重ねて、「ほぐほぐ」と名付けました。
2019年4月より新たな拠点となった、ちんじゅの森サロン「ほぐほぐ」は、神様にお供えするお米や野菜をつくる田んぼと畑のある場所です。お米や旬の野菜を育てることは、種と土と太陽と水の恵みに、人が五感をつかって働きかけていく営みです。私たちの命は自然の循環の一部であることを思い出し、季節のうつろいに合わせて暮らしをつくる。「時間をつなぐ・暮らしをつくる」をテーマに、人が集い、食し、語らい、学び合い、芸術を味わい、心豊かな温かい時間を重ねて、次の世代につないでいけるコミュニティとしての「ちんじゅの森」を育んでいきます。
目白台は、かつて大名の下屋敷が多かったという土地で、旧熊本藩細川家伝来の美術品が収蔵された永青文庫、肥後細川庭園が近くにあります。椿山荘の木々の豊かな広い庭園を歩いて抜ければ、桜の時期が楽しみな神田川沿いに出られます。神田上水の改修工事に携わったといわれる松尾芭蕉の関口芭蕉庵など、季節を感じながら散歩するにもいいところです。東京カテドラル聖マリア大聖堂、日本女子大学成瀬記念講堂などは、建築好きの方にもおすすめです。
皆さんもぜひ一度お散歩がてら現地に足をお運びいただき、NPO法人ちんじゅの森の活動にご参加いただければ幸いです。
【基本理念】
広く国民に対して自然環境に関する事業(古来『鎮守の森』に代表される自然と共に生活することで培われた、さまざまな日本人の知恵に焦点を当て、これを学び、これを理解し、これを広く人々に啓発すること)を行い、環境教育と少子高齢化にともなう福祉活動、地域の活性化に寄与する事を目的としています。
さらに人々が生活の中で集い、憩い、森の知恵を学ぶことのできるコミュニティとしての『ちんじゅの森』づくりを推進し、日本の生活文化から生まれた知恵を将来にわたって長く継承しながら未来の循環型社会を目指します。
※ NPOちんじゅの森の「ちんじゅの森」とは、人々の暮らしを物理的、経済的、精神的などの面から支える地域の森と定義しています。例えば、里山や神社仏閣の森をはじめ、住宅団地の森を含みます。
【概 要】
団 体 名 特定非営利活動法人 ちんじゅの森
理 事 長 森村衣美
副理事長 岡崎萌生
副理事長 松田重雄
理 事 寺村佳子
理 事 小山栞奈
理 事 弘世京子
監 事 宮田千枝
相 談 役 中尾 伊早子
所 在 地 東京都文京区目白台1−22−2
T E L 03-6877-0425
定 款
活動報告
【沿 革】
ちんじゅの森コンサート実行委員会を設立
「第1回鎮守の森チャリティコンサート」実施(明治神宮)
2000年
2001年
「特定非営利活動法人NPOちんじゅの森」設立
「語り継ぐ民話~ちんじゅの森の物語」実施(靖国神社)
「第2回ちんじゅの森チャリティコンサート」実施(明治神宮)
鎮守の森CO2調査(都内神社/國學院大學)
2002年
「コミュニティが支える在宅ホスピスの拠点施設のあり方を考える研究」
民話語り「ちんじゅの森の物語」全国展開都内12回公演(日本財団)
「ちんじゅの森チャリティコンサート」実施(明治神宮)
鎮守の森CO2調査(都内神社/國學院大學)
2003年
民話語り「ちんじゅの森の物語」全国展開/17か所27公演(助成:日本財団)
「ちんじゅの森チャリティコンサート」実施(明治神宮)
鎮守の森CO2調査(都内神社/國學院大學)
2004年
「ちんじゅの森チャリティコンサート」実施(明治神宮)
民話語り「ちんじゅの森の物語」全国ツアー/60か所80公演(助成:日本財団)
神話語り「古夜INISHIE・NIGHT~神々の歌、神々の物語~」(赤坂日枝神社)
彩・選・単塾「正木晃先生のはじめての宗教学」(東京大神宮)
2005年
民話語り「ちんじゅの森の物語」全国ツアー34か所65公演(助成:日本財団)
彩・選・単塾「正木晃先生のアニメ宗教学」(全12回)実施
彩・選・単塾「古事記と日本書紀を読み比べよう!」(全5回)実施
彩・選・単フォーラム「はじめてのご遷宮」実施(東京大神宮)
「ちんじゅの森チャリティコンサート」実施(明治神宮)
愛・地球広場にて「EXPO2005ちんじゅの森コンサート」開催(愛・地球博)
神話語り「古夜INISHIE・NIGHT~神々の歌、神々の物語~」を5ヶ所で開催
赤坂区民ホール、外宮勾玉池(伊勢)、ペスタロッチ(岡山)、伊勢月夜見宮、日枝神社
彩・選・単フォーラム「はじめてのご遷宮vol.2」実施(東京大神宮)
民話語り「ちんじゅの森の物語」全国ツアー(助成:日本財団)
彩・選・単塾「人物から読み解く日本の歴史」(全12回)実施(東京大神宮)
彩・選・単フォーラム「はじめてのご遷宮vol.3」実施(東京大神宮)
「ちんじゅの森チャリティコンサート」実施(明治神宮)
神話「古夜INISHIE・NIGHT~神々の歌、神々の物語~」実施(赤坂・日枝神社)
2006年
2007年
民話語り「ちんじゅの森の物語」~北陸、北海道、岡山実施(助成:日本財団)
彩・選・単塾「世界を知る講座」(全12回)実施(東京大神宮)
彩・選・単フォーラム「はじめてのご遷宮vol.4~Vol.6」実施(東京大神宮)
ちんじゅの森チャリティコンサート終了(明治神宮)
★ちんじゅの森基金を全額東京都「海の森募金」に寄付
神話語り「古夜INISHIE・NIGHT~神々の歌、神々の物語~」を東京大神宮と、日枝神社の2か所で開催
PHP研究所よりちんじゅの森監修「よくわかる!神社神宮」発売
2008年
東京都環境局より「緑の東京募金」への寄付による感謝状をいただく
理事で絵本作家・あべ弘士氏の還暦記念に東京大神宮限定、ちんじゅの森プロデュース・あべ弘士絵馬販売 開始
あべ弘士氏の絵本「なめとこ山の熊」の映像とTeam励風の音楽と語りのコラボレーション公演を開催
(東京大神宮「桃の節句」、靖国神社「おやこの会」、岡山野田屋)
彩・選・単フォーラム「はじめてのご遷宮Vol.7~Vol.8」開催(東京大神宮)
神話語り「古夜 INISHIE-NIGHT」を2月に伊勢シティホール、8月に御岳神社、9月に日枝神社で3回公演
8月の御岳神社での公演は月刊誌「WEDGE」にて掲載される
民話語り西日本ツアー(助成:日本財団) 坂本長利独演劇「土佐源氏」公演併催 CD「土佐源氏」制作
2009年
神話語り「古夜 INISHIE-NIGHT」を2月、伊勢・猿田彦神社、10月赤坂・日枝神社にて2回公演
また、伊勢・猿田彦神社での神話語り「古夜」公演を収録し、経済産業省の助成金によりDVD「伊勢・ 神々の国の物語」を制作
彩・選・単フォーラム「はじめてのご遷宮Vol.9~Vol.10」開催
「古談(いにしえ・トーク)コンテスト」開催(後援:文化庁、助成:日本財団)
2010年
春、日本財団ビルにて「古談(いにしえ・トーク)コンテスト」授賞式開催(後援:文化庁、助成:日本 財団)
北海道、東京、愛媛から受賞者が上京し、審査委員長のあべ弘士さん、審査委員のおおたか静流さんから
それぞれ賞状と作品を収録したCDが授与された
民話語りは春の靖国神社での「おやこの会」と夏の御岳神社、秋の深大寺が今年も恒例に。
7月には山梨県 道志村で開催された「全国源流サミット」にて、水源の村の物語「的様」を制作・公演他、
小学校・神社仏 閣・図書館等全国15か所18公演実施
神話語り「古夜 INISHIE-NIGHT」は赤坂・日枝神社にて公演
彩・選・単フォーラムは「はじめてのご遷宮Vol.11~Vol.12」開催
国文学者の中西進先生と伊勢神宮の 神職・河合真如さんによる講演
彩・選・単塾は、正木晃理事の「千と千尋のスピリチュアルな世界」開催(東京大神宮)
2011年
2012年
2013年
ちんじゅの森設立10周年
「古談(いにしえ・トーク)コンテスト」大分県にて壁画制作と発表会実施(後援:文化庁、助成:日本財団)
「ちんじゅの森チャリティコンサート」復活(明治神宮)
9月の台風12号の影響で紀伊半島の熊野川が氾濫
2012年の古事記編纂1300年記念に向けて熊野三山で神話 公演を行う予定が中止に
第13回、第14回彩・選・単フォーラム実施
彩・選・単塾は「FifthElement」を全6回開催(東京大神宮)
「古夜」(日枝神社) 古談は、今年度より、旭川のNPOかわうそ倶楽部に事務局を移す
チプサンケツアー実施
3月、ちんじゅの森事務局移転。武蔵野市吉祥寺から世田谷区喜多見へ
ちんじゅの森チャリティコンサート実施(明治神宮)
2013年1月 8年にわたり年に2回実施いた彩・選・単フォーラム最終回終了
民話公演2か所実施
ちんじゅの森チャリティコンサート実施(明治神宮)
民話公演17公演実施(都内神社、小学校等)
古夜プレ公演7か所(太子堂八幡神社、武蔵御嶽神社、天沼八幡神社)、本公演1か所(赤阪山王日枝神社)
2014年
ちんじゅの森チャリティコンサート実施(明治神宮)
民話公演2公演実施
古夜実施
2015年
民話公演2公演実施
古夜実施
ちんじゅサロン実施
2016年
民話公演2公演実施
古夜実施
ちんじゅサロン実施
2017年
松島湾アマモ場再生会議へちんじゅの森基金送金
2018年
連続講座「ありがたさとわずらわしさの間に」開催(講師 澁澤寿一氏)
2019年
ちんじゅの森事務局移転。世田谷区喜多見から文京区目白台へ
目白台にサロン「ほぐほぐ」を開設
2020年
ちんじゅの森設立20周年